スペイン旅行 エピローグ

数えたら40の記事を書いていた。 最初から最後まで読んでくださった方、どうもありがとう。

途中、一ヶ月のインターバルを二回もはさんでしまったけれど、約四ヶ月かかってようやく書き終えた。 同じ12日間の旅行であるトルコ旅行記を終わらせられていないだけに、感無量である。(大げさな・・・)

320枚もの写真を撮ってきたが、実際のところ、メモリーカードを多めに持っていくのを忘れたため泣く泣くたくさんの写真を消した。 おそらく500枚以上にはなっていたのではないだろうか。 写真に残っていなければ、思い出せないものもいっぱいあるというのに・・・もったいないことをした。 

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スペインという国はプロローグでも書いたが、抱いているイメージと全く違っている国であった。 『情熱の国』というのとは程遠く、バルセロナを除いては割と静かなイメージだ。 ツアーということもあるが、出合ったスペイン人もイタリア・ラテン人と比べてシャイな感じ。 

そしてどの町も違った魅力にあふれている。

まあ、これはどの国でも当てはまることではあるけども。 日本でさえ、北海道、東京、大阪、沖縄では全然違う。

途中、体調を崩したりもしたけれど(お腹がゆるくなった)、犯罪にもあわず、いい旅行だった。 ツアーの人たちも物静かで上品で良い方たちばかり。 私たちが一番うるさかったに違いない。

その中で60歳だけど、60歳にはとても見えない若々しい奥さんと知り合いになった。(なんでも、スポーツジムに毎日通っているらしい)。  実は、最後のサグラダ・ファミリアにも一緒に登って、カメラのメモリーがない私と妹のために代わりにたくさん写真を撮ってくれて、プリントアウトして送ってくれた。 「サグラダ・ファミリアが完成したら一緒に行きましょう」と約束をした。 本当に実現するといい。

また、現地在住の日本人ガイドさん3人にお世話になったが、どの方も魅力的。 特に、コルドバ-グラナダ間のガイドさんは素晴らしい方で、このブログに関しても多大なるご協力をいただいた。

最後に、ありがとうございました。 おかげで終わらせることが出来ました。

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ガウディの世界 4 (カサ・ミラ)

マドリッド(3泊) - カルモナのパラドール(1泊) - マルベーヤ(コスタ・デル・ソル)(2泊) - グラナダのパラドール(1泊) - バルセロナ(3泊)

十一日目(出発14:30まで自由)

Spain008_2  サグラダ・ファミリアから戻って、今度はカサ・ミラだ。

これもガウディの作で、高級マンションとして建設された。 カサ・バトリョと同じくこちらも途中階にはまだ住人がいるので、見物できるのは屋上と博物館になっている最上階、その一つしたの住居跡なのだが、ちょっと構造が複雑! あやうく住居跡を見ないで帰るところだった。

この住居跡が、100年前の金持ちのものだからとても面白い! お手伝いさんの部屋があったりするし、寝室やリビングルームの調度品はアンティークなもので見ごたえたっぷり。 

最上階の博物館も、カサ・ミラに関係するものや、カサ・ミラに関係しなくてもガウディ関連のものが置いてある。 例えばガウディ作のいすなど。 結構広いので迷子になりそうになった。

屋上は、まさにガウディの世界。 煙突が、一つの芸術的オブジェとなって並んでいる。 

Spain006

こうして、すべての観光を終えた。

最後の写真は、明り取りのための吹き抜け。 その形までが芸術性を帯びている・・・・。

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再びサグラダ・ファミリアへ

マドリッド(3泊) - カルモナのパラドール(1泊) - マルベーヤ(コスタ・デル・ソル)(2泊) - グラナダのパラドール(1泊) - バルセロナ(3泊)

十一日目(出発14:30まで自由)

とりあえず旅行先では高いところに登る、というのが信条。

オーストラリア・シドニーではブリッジ・クライムに挑戦し、エアーズロックにも登った。 イタリアでは、フィレンツェやミラノのドゥオモやピサの斜塔に、バチカンでもサンピエトロ寺院の上まで登った。 はたまた札幌のテレビ塔も階段で登り、香川の金比羅さんの800段にも挑戦。

そして、このサグラダ・ファミリア、実は先日のツアーでは登る時間は無し。 だから自由時間を利用して、再び登るためだけにサグラダ・ファミリアを訪れたのだ。 ガイドさんに聞けば、ホテルから徒歩20分ぐらい。 

9時に空くというので、9時ごろ着くようにホテルを出発。 (他にも観光したかったので、時間を有効に使うためだ)

今までの意識だと、観光地には開場前から人が並んでいるのが常。 ところが行ってみてびっくり! 9時ちょうどに着いたというのに、一番乗りだった。 やはり、スペインは夜が遅くて朝も遅いのだ。

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サグラダ・ファミリアの鐘塔は二本ずつ対になっていて、片方の塔のエレベーターで昇り、もう片方の階段で下りてくるしくみ。

見た目も細い塔。 

実際、あまりのんびりできるようなスペースはなく、写真を撮っていると後ろの人が通れないのでしょっちゅう道を譲らなければならなかった。 それでもせっかく時間とお金をかけて登ったのだからと、結構長居した。 

だから、もし同じように上りに行く人がいたら、朝一番をお勧めしよう。 先日のツアーで訪れた4時ごろは長蛇の列だったから、塔の上はわんさか人がいて身動き取れなかったか、さっさと下りさせられたかどちらかだったに違いない。

細くて長い螺旋階段をぐるぐる下る途中も、いろんなものが見えて楽しい。

下から見上げると小さい彫刻がドカーンと目の前に見えたり。 お勧めです。

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ミシュラン・一ツ星

マドリッド(3泊) - カルモナのパラドール(1泊) - マルベーヤ(コスタ・デル・ソル)(2泊) - グラナダのパラドール(1泊) - バルセロナ(3泊)

Spain001 十日目、最後の夜となるこの日の夕飯は、ミシュラン・一ツ星レストランである『ネイチェル』へ。

気合を入れてドレスアップ。 (このドレスは、南イタリア旅行中に見つけたもの。 かなりお気に入りだけど普段はとても着られない)

Spain002 初のミシュラン星付きレストラン体験だったのだが、スペインのお国柄なのか、割と親しみやすい雰囲気。

私たちツアー客だけの部屋に通されたこともあり、ゆっくり食事を堪能することができた。

料理は、独創的な盛り付け。 写真のように、一皿ごとにいろんな食材が使われていて面白い。

味はどうかといわれれば、Spain003_2 おいしかったには違いないが、焼肉やラーメンをおいしいと思う庶民の舌にはいささか高級すぎ?

どちらかというと、目で楽しんだ。 

面白かったのは、絨毯を引いた部屋にたまったホコリ。 きっと日本のミシュラン星付き・・・ではなくても高級レストランでは考えられないこと。

そんなおおらかさもスペインの魅力と思えばまた楽しい。

Spain004  写真以外にも何皿か出てきたので、デザートの頃には満腹である。

いろんなものをちょっとずつ楽しめるのが魅力よねー。

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ダリ・エクストールとショッピング

マドリッド(3泊) - カルモナのパラドール(1泊) - マルベーヤ(コスタ・デル・ソル)(2泊) - グラナダのパラドール(1泊) - バルセロナ(3泊)

(十日目の行程) モンセラット → バルセロナ(自由行動)

Spain024 モンセラットからバルセロナ市内に戻った後は、自由行動。

ダリ・エクストールというダリの美術館を訪れる。 ダリの美術館といえば、ダリが生まれ育った町 フィラゲスと晩年を過ごしたリゾート地 カダケスにもある。 いつか訪れてみたい。

バルセロナのダリ・エクストールはデッサンから彫刻までたくさんの作品が展示されているが、有名な絵画などはほとんど置いていなかったのが残念。 彫刻は、マルベーヤで観たものと同じものの縮小版が展示されていた。 若かりし日のダリの写真や、イベントの展示物(写真)などは面白かったが、全体的にこじんまりとした印象。

その後、スペインの有名ブランドZARA(スペイン語では”サラ”とにごらず発音)に行く。 日本でも割りとリーズナブルだが、本場スペインでは激安! シルクのブラウスが29ユーロだったので即買い。

また、面白いスペイン食材を土産にしようと、エル・コルテ・イングレスというデパートへ。このデパート、スペインで最大チェーンということもあり、特にバルセロナでは「あ002、ここにもある」「あ、あそこにも」という感じである。 ZARAも同じく。 

海外のデパ地下やスーパーは面白い。 

005  チュッパチャップスの包み紙は、ダリのデザインであるのは有名。 そんな本場チュッパチャップスは、日本には売っていない包み紙状の粒キャンディーやミニ・チュッパチャップスなどがあり、たくさん買い込んだ(右上の写真)。 

オリーブオイルも世界ナンバーワンの生産量を誇るくらいだから安いし、バルサミコはイタリアのぶどうからできているものと違ってシェリー酒から作られている。 味はイタリアのものより酸味が強くてあっさりしている(写真左)。

Bag001 そして最後に、スペイン唯一の高級ブランドLOEWE”ロエベ”へ。 スペイン皇室御用達ブランドだ。 

バッグは買う予定はなかったのでかなり悩んだが、添乗員さんが「同じ良い皮で作られていても、エルメスのバックの半分くらいで買える(質は良いのに安いという意味)」という一言で、決断! 

冬の色ではないので、春先に下ろすつもりだ。 

ただ、このときは1ユーロ155-160円。 最近116円台まで行ったことを思うと、ちょっと悔しい。 そんなことを言えばキリが無いが。 

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モンセラット

マドリッド(3泊) - カルモナのパラドール(1泊) - マルベーヤ(コスタ・デル・ソル)(2泊) - グラナダのパラドール(1泊) - バルセロナ(3泊)

(十日目の行程) モンセラット → バルセロナ(自由行動)

Spain016 バルセロナから車で約一時間。 モン・セラット(のこぎり山)という場所がある。 奇岩がのこぎりに似ていることからそう呼ばれている。

ここで有名なのは”黒いマリア像”。 キリスト信仰ではなく、”マリア信仰”と言うものがあるそうで、世界各地から巡礼者が訪れるそうな。

なぜ黒いかというと「灯明のすすによる」らしいが、これは諸説ある中の一つで真相は不明。 また、スペイン以外、フランスにも黒いマリアは現存するそうだ。 

このマリア様の持っている黒い玉に手を載せて祈れば願いがかなうという言い伝えがあるらしく、観光客の長蛇の列。 私たちももちろん並んだ。 願いがかなったら御礼に来なければならないらしいが・・・・?! ただし、ミサの時間(10時半か11時だった?)には中断されるらしいので、その前に行くのがよし。

Spain014 さて、『ガウディの世界 3(聖家族教会)』で紹介した、現代彫刻家 ジュゼップ・マリア・スビラクスであるが、ここモンセラットでも彼の作品を見ることができる。

大聖堂の左脇には、小部屋がいくつか並んでいる。 聖人の墓もあるのだが、一つの部屋にはキリストが・・・。 ここはマリア信仰なので、正面にはマリア様、脇にキリスト様ということらしい。 

私のデジカメの性能がよくなくて、何度取り直しても顔が映らなかったのがとても残念。 とにかく、両手の部分を見てもらえればわかるが、へこんでいる。 そう、顔もへこんで描かれているのだ。

本当に彼の作品はユニークである。

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Spain017 観光とは全く関係ないが、この日(2008年9月27日(土))、白バイ警察官が一列に連なってたくさんやってきて、大聖堂に向かっていった。

あまりにもたくさん来たので、皇室か何かの行事が行われるのかと想像したが、真相はわからずじまい・・・。 

ただ、写真をバシバシ撮っていた人が、警官からフィルムを引き出されるという場面もあり、緊張が走った。 私のデジカメは無事でよかった・・・・。

Spain013

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番外編 7 (スペインのバス)

Spain057 スペインを走るバスのドアミラーはかわいい。

「まるで犬の耳みたいだなぁ・・・」と思っていたら、茶色のバスを発見! 

まさに犬!、ということで激写。 

だから、これは私たちの載ったバスではない。

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ピンチョスとフラメンコ

マドリッド(3泊) - カルモナのパラドール(1泊) - マルベーヤ(コスタ・デル・ソル)(2泊) - グラナダのパラドール(1泊) - バルセロナ(3泊)

(九日目の行程) バルセロナ (カサ・バトリョ → グエル公園 → 聖家族教会 → ピカソ美術館)

Spain009_3 盛りだくさんの観光を終え、夕飯の時間。

私たちのツアーの粋な計らいとして、マドリッドでのバルめぐり(詳しくは『マヨール広場とバルのタパス』参照)や、今回のバスク・バルがある。 好きなものを私たちが注文できるのである。 

バスク・バルでは、ピンチョスが食べられる。 ”パンのお寿司”とでも言ったらいいのだろうか、フランスパン(スペインなのに?)の上にハモン・セラーノ(生ハム)やソーセージ、サーモン、野菜などが乗っているたくさんのピンチョスがカウンターに並び、自分の好きなものを好きなだけ取る。 お勘定は、ピンチョス(爪楊枝)の本数で。 まるで、回らないが、日本の回転寿司のようなシステムだ。

Spain010 ツアーに参加しているのはご高齢の方々が多かったので、ガイドさんが「おそらく予算を超過することは無いので、たくさん食べてください」とわざわざ言ってくださった。 かつて大食いを自称した私は、14個を間食(もうすぐ古希の母はたった4個)。 デザートまで置いてあるので、欲張りな日本女性にはもってこいのお店である。

なお、ガイドさんにピンチョスの価格を確認することを忘れ、私のガイドブックにも全く載っていなかったので、単価はわからない。 

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さて、満腹になって向かった先は、タブラオ。フラメンコのショーを見せる場所だ。

Spain011 新宿にもフラメンコを見せる店があるらしいが、私は本物を観るのは初めて。

それは、なんというか・・・圧巻だった。

私のテレビでちらっと観て描いていたイメージとは違う、もっと重厚なもの。 日本の単純な拍子(リズム)とは違う、一瞬不ぞろいにも聞こえるが、確固とした独特のリズムをとった手拍子が響き渡る。 続いて迫力のある歌声やギター、力強い足踏みを伴った踊り。 踊り手たちの汗が舞い散る。 この迫力は現物を観た人でなくてはわからないだろう。

昔、ちらっと「フラメンコ習ってみたいな」なんて思ったのが恥ずかしいぐらいの、体から沸き立つ迫力のある踊りだった。 こんなの私には踊れない・・・・。Spain012

本当は、アンダルシア地方(スペイン南部)が発祥の地だそうだ。だから本場で見るにはセビリアやグラナダがいいだろう。 

ところで、『情熱の国、スペイン』といわれる所以であるところの”情熱”=Passion は、実は誤訳だそうである。 フラメンコを生み出したヒターノたち(英語で言うところのジプシー)のPassion とは、”受難”だそうだ。

辞書を引いてみた(New Collegiate 5th)。 『情熱』などの意味とともに、最後に『キリストの苦難』とある。 そういえば昔、メル・ギブソンの『パッション』 というキリストの受難を描いて問題になった映画があったっけ。

まあ、ちょっと話が逸れたが、どの地域でも迫害し続けられたジプシーたちの受難を表したのがこのフラメンコの始まりだそうだ。 だから体の中からあふれ出すものがある。 ”Passion”とは、普通に育ってしまった私には到達できない感情なのだと思った。 

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こういった場所も夜が遅いスペインでは夜10時~とか、12時~とかが当たり前らしく、私たちも10時から観て終了したのは12時ちょっと前だった。 

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ピカソの世界 

マドリッド(3泊) - カルモナのパラドール(1泊) - マルベーヤ(コスタ・デル・ソル)(2泊) - グラナダのパラドール(1泊) - バルセロナ(3泊)

(九日目の行程) バルセロナ (カサ・バトリョ → グエル公園 → 聖家族教会 → ピカソ美術館

スペインで忘れてはならないのがピカソである。 晩年はフランコ政権に嫌気がさして、フランスに渡ってしまったが、れっきとしたスペイン人。

マドリッドで観た『ゲルニカ』は、多くの人が知るピカソのキュービズムの絵画。 ところが、ピカソは最初っからあんなへんてこりんな絵を描いていたのではない(失礼!)。

かなり前、日本の美術館に来ていたものだったのかテレビだったのか忘れたが、ピカソの少年時代の絵を見たときには衝撃を受けた! まさに写真のような上手な絵だったのだ。 しかも10歳にも満たない少年の頃に描いている。 これも『天才』と称される所以だったのか。

前置きが長くなったが、ここバルセロナのピカソ美術館は、写実的な絵からキュービズムに至るまでの変遷を紹介している。

天才少年現る : 自身も画家であったピカソの父親が「自分の息子は天才だ!」と気がついた時の絵。 父親を実に写実的に描いた8歳(9歳?)の頃の作品。 また、母親のデッサンには、母への愛情があふれている。

また、史上最年少で賞を取った作品も展示してあるが、絵のうまさのみならず、そこに隠された絵画の技法は賞賛物。

青の時代 : これは親友が自殺してショックで落ち込んでた時代に描かれた絵画たち。絵の中の人物も、浮浪者や貧しい人たちが多い。

バラ色の時代 : 恋をして、世界はバラ色になったらしい。 本当にピンク色(赤色)っぽい絵画がいっぱい。 そんな単純さを目の当たりにして、キュービズムには批判的な私もピカソを見直した。 (←えらそー)

キュービズムに至る : プラド美術館のラス・メニナスなどの有名絵画を模写しているスケッチが多数! しかも、キュービズムで描かれていて面白い。 原作と比較しながらみたら楽しいかも。 

(注: 上記の説明は、私流にかなり偏っているので正しく知りたかったら調べてください)

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ところで、ピカソ美術館付近は日本人を狙ったスリが多いそうだ。 前にも触れたが、ガイドさんが「先ほど、常習犯のスリが私たちの後をつけているのに気がついたので追っ払いました」といわれたのは、まさにここだ。

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ガウディの世界 3 (聖家族教会)

マドリッド(3泊) - カルモナのパラドール(1泊) - マルベーヤ(コスタ・デル・ソル)(2泊) - グラナダのパラドール(1泊) - バルセロナ(3泊)

(九日目の行程) バルセロナ (カサ・バトリョ → グエル公園 → 聖家族教会 → ピカソ美術館)

Spain005 聖家族教会、スペイン語で”サグラダ・ファミリア”といったほうが私たちにはわかるかも。

ガウディが没してから約90年経った今でも完成していない、巨大な遺作である。

私たちの記憶では「完成までに100年は掛かる」といわれていた。 ところが、現在では「後20年ほどで完成するだろう」という風に変わってきている。

一つに、建築技術の飛躍的な向上。 もう一つに、莫大な寄付金が寄せられるようになったこと。 数十年前は金持ちしか観光旅行が出来ない時代で、テレビの普及もしていない。 それがいまや航空運賃がリーズナブルになって多くの観光客が訪れるようになった。 そしてテレビの普及とともに、この教会はいろんな国で未完の大作と紹介され、世界中からたくさんの人が訪れる。 

スペインの観光資源といっても、”教会”である以上、建築費は寄付金からまかなわなければならないのだ。 そして余談だが、なんとバルセロナは世界一観光客が訪れる都市であるらしい。

そんなわけで、アラフォーの私でも完成のサグラダファミリアを拝める可能性が出てきたわけだ。

Spain060 さて、右の写真は「日本人がサグラダ・ファミリア”の完成に携わっている」ことで有名な”主任彫刻家、外尾悦郎さん”の作品である。

サグラダ・ファミリアには三つの門がある。”(キリスト)生誕の門”、”受難の門”、”栄光の門”。 当のガウディは、生誕の門の完成しか見られずに亡くなった。 

聖書で有名な『三人の賢者』(左下の部分)や、生誕の祝福をする聖人達などの彫刻は、地の部分と比べて色が白いことが写真でもわかるだろうか? 地はガウディの時代に、彫刻は現代に作られたからである。

Spain063 左の写真は、受難の門。 スペインの現代彫刻家 ジュゼップ・マリア・スビラクスの作品。(彼は後日のブログにも登場することになるが、一風変わった前衛的な彫刻を施す)

『ユダの裏切り』から『キリストの磔形』までの聖書の話がいくつも描かれている。(この写真には『磔形』しか写っていないけども)

面白いのは、この中に”ガウディがいる”こと(写真下段のよろいをかぶった人たちの左に、右を向いて建っている人)。 スラビクスのガウディに対する畏敬の念なのであろう。

ここでふと、疑問が湧いてきた。「ガウディが設計したのだから、ガウディがそうやって自分を彫刻で残すように指示したのでは?」とか「生誕の門と受難の門では、彫刻の趣が大分違うのはどうして?」など。

ガイドさんに確認したところによると、教会全体の造りや彫刻のモチーフ、つまり「生誕の門にはキリストの生誕を描き、受難の門にはキリストの受難を描く」ということなどは決めたものの、彫刻の細かい指示までは出していなかったそうである。 Spain064

ちなみに、世界中からサグラダ・ファミリアの完成に携わりたいと集まってくるそうだが、かなりの競争倍率で、お断りをしているそうな。 そう考えると外尾さんはやはりすごいのだ。

さて、教会の地下は博物館となっている(無料)。 この教会の建設に関わるものや写真が展示されているのだが、右のものはガウディが教会の構想に使用したもの。

以前にも触れたが、ガウディは直線を嫌い”自然な曲線”を使うことを目指した。

糸に、小さな砂袋を下げて、自然な曲線を作り出した・・・すなわち、これを逆さに下のものがサグラダ・ファミリアの形なのである。 なるほど、鐘塔が変な形をしていると思ったが、ここから発想したのかと合点がいく。 ちなみに、鐘塔は完成時点で12本になる予定でこれは12使徒をあらわし、中央にキリストを象徴する塔が建つという。

Spain061  内装も未完成だが、他の教会では絶対に見られないようなデザイン。 (確か)太陽を表しているとか。 岡本太郎を連想する。

ステンドグラスも、色つきガラスが入っているものもあれば、まだのところもある。

もし、本当に20年後の完成時にここを訪れることが出来たとしたら、同じ場所から写真を撮ってみたいものである。『使用前・使用後』みたいな・・・(笑)。Spain062

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