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マドリッドにて 1 (プラド美術館とスペイン広場)

さあ、いよいよスペイン旅行の始まり!

そうだ。 最初に日程を紹介しておこう。 下記の街は宿泊したところで、そこを基点にいろいろな街へ足を延ばした。 それらは個々に紹介する。

マドリッド(3泊) - カルモナのパラドール(1泊) - マルベーヤ(コスタ・デル・ソル)(2泊) - グラナダのパラドール(1泊) - バルセロナ(3泊)

注) 地名については、、マルベーヤ(Marbella) は英語的にはマルベーリャだし、正しくは『マルベージャ』と発音するらしく、ガイドブックによってもその表記が違ったりする。 私は地名や観光地などはツアー催行会社の日程表に合わせて表記、日程表に載っている以外のものは『わがまま歩き(ブルーガイド)』の表記にあわせることにする。

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(二日目の行程)

プラド美術館 → スペイン広場 → 王宮 → ソフィア王妃芸術センター 

<プラド美術館>

プラド美術館は、世界三大美術館のひとつ・・・・・とガイドされたし、ガイドブックにも書いてある。 私の知識では世界三大美術館はルーブル(フランス)、エルミタージュ(ロシア)、メトロポリタン(アメリカ)なのだが、”三大”といわれるものについては通常諸説あるものなのでしょうがないのかも。 その基準を規模におくか、所蔵品におくかの違いもあるだろう。 とにかくプラド美術館は、その絵画の所蔵量は素晴らしいらしい。

スペインが生み出した三大巨匠ベラスケス、ゴヤやエル・グレコの作品などが多く展示されている。 ツアーなので代表作のみをガイド付きで見て周った。 団体旅行のガイドは一時間のみと決められているらしく(一時間以上ガイドするとお咎めを受けるらしい)、その後40~50分の自由時間が与えられた(トイレ時間込み)。 自由に行動できる個人旅行もいいが、ツアーがいいのは、絵について作家についての薀蓄が聞けるところにある。 絵画について不勉強な私にはツアーはモッテコイだ。

ただし、これから書くなかのいくつかは私がガイドから聞いたことであり、通説と多少異なるかもしれないことをご了承いただきたい。 遠い昔のことは諸説あるのが普通だし、私も三週間も前に聞いたことで、脳みそに入れるだけでメモった訳ではないことも考慮してほしい。

私はゴヤの晩年の黒い時代の絵が、不気味だけれどなぜか引かれた(私がネクラだからか?)。 晩年は『わが子を喰らうサチュルヌス』を始め、本当に背景から何から真っ黒である。 ベラスケスは天才で絨毯のデザイン画を描いていた若かりし頃にその才能を見出されて宮廷画家になったらしい。 ところがゴヤは宮廷画家になりたくてなりたくて、しかし才能はあっても天才ではなかったために、策を施してようやくなれたのだそうだ。 宮廷画家になれたのはいいが、結局天才ではなかったことと、私生活が乱れていることが災いして宮廷を追い出され、しかも晩年は病気で耳が聞こえなくなったとか・・・。 そんな彼の心の闇がこれらの絵の世界ににじみ出ているようだ。 

ちなみ宮廷画家時代には『裸のマハ』『着衣のマハ』などがある。 『着衣のマハ』は表向きの絵、『裸のマハ』はひそかに楽しむ観賞用であったとかなかったとか。 体と顔は実は別人で、どちらか(忘れた)はゴヤの愛人であった貴族の奥さんだったという説もあるらしい・・・。 そう思って観るとそう見えてくるから面白い。

ところで美術館の入り口は3つあり、メインの『ゴヤ門』のほかに『ベラスケス門』、『ムリーリョ門』があり、それぞれの像が建っている。 団体入り口は『ヘロニモス門』で、サン・ヘロニモス・エル・レアル教会(San Jeronimos el Real)の近くである。 実はこの教会は日本とゆかりの深い教会だということを教わった。

織田信長の時代の天正遣欧使節。 伊藤マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアン、原マルティという少年たちがスペインに来て、この教会にて歓迎されたらしい。 彼らはキリスト教(イエズス会)を学ぶために来てスペインで優待されるが、日本に帰ってくると織田信長は死んで時代が変わり、キリスト教迫害の憂き目に会ったらしい。 ちなみに私はこんな史実があったことは、日本史の授業で習ったのが20年以上前のことになるのでほぼ忘れていた。 

最後にもう一つ! エル・グレコというのは『あのギリシャ人』という意味のスペイン語で、彼はギリシャのドメニコス・テオトコプロスという名前がちゃんとあり、絵にはこちらの名前で署名されているのだそうだ。 知らなかったなぁ・・・。

<スペイン広場>

Spain319_2 緑に囲まれた公園なのだが、何が見ものかというと『ドン・キホーテ』の作者のセルバンテスの石像と、ドン・キホーテとサンチョ・パンサの銅像。

びっくりしたことに『ドン・キホーテ』は、世界で二番目に多くの国の言葉に翻訳されているのだそうだ。 一位はなんと聖書!! ← これを聞いたときは、びっくりしたけれども大いに納得した。 

ところが、『ドン・キホーテ』は物語の一部分、例えば敵と間違えて風車に突進するくだりとか、その挿絵みたいなものは覚えていても本を読んだ記憶がない。 これを機会に読んでみようかと思いきや、どうやらすべて読むのはかなり骨が折れる作業だそうだ。 現地日本人ガイドさんが言っていた。「眠れない夜に読んでみるのはいかがでしょうか・・・」と。Spain320 「羊を数えるより早く、十数ページも進まないうちに、眠れることでしょう(笑)。」

つまり、日本語訳が旧訳ということもあるらしいが、もし読みやすい現代語訳であったとしてもかなり長くて途中退屈(失礼!!)ということらしい。 ならば子供用に要訳された『ドン・キホーテ』でも読んでみるとするか・・・。

このガイドさん、日本人客全員に「『ドン・キホーテ』を読んだことがありますか?」と質問しているそうだが、毎年10人も行かず、せいぜい5人ぐらいだそうだ・・・。 

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コメント

スペイン旅はマドリッドからスタートですね。
何はともあれ、プラド美術館を見ないことには始まりません。
しかし、ツアーには見学時間の制限があるので、グレコ、ベラスケス、ゴヤのスペイン三大巨匠の名画。さらに時間があれば、イタリアとフランドル派のルネサンス絵画を急ぎ足で見て、それで、時間は一杯になってしまいますね。
また、美術館には知られざる傑作や、個人的なお気に入りの絵を発見する楽しみがあるのですが、そのためには、丸一日かけないことには無理というものです。

特にゴヤの絵は、そのドラマチックな生涯と共に、恐るべき画風の変化に見応えがありますね。オーソドックスで非の打ち所のないベラスケスには、感嘆するばかりですが、その点、野心と欲望ドロドロの私生活、革命の動乱を生き抜いたゴヤは、巨人のような圧倒的な力で迫ってきます。僕も個人的には、ゴヤの絵の奥に潜む人間模様に惹かれて、最も鑑賞に熱がこもります。

最近、自分自身が段々ドン・キホーテと重なって見えてきました(笑)
ひとの人生とは、儚い夢や幻を追い、ついに叶わず、かくのごとく時は移り過ぎ・・最後に省みれば、終章におけるキホーテと同じ感慨を以て終わるのだろうか・・と思ってしまったり。

投稿: ルイス | 2008年10月17日 (金) 04時35分

ルイスさん、こんにちは。
一時間のガイド付きの見学と3,40分の自由時間で、プラド美術館を見た気になってはいけないのでしょうね。いつか再びマドリッドを訪れ、自由に絵画を堪能したいです。ベラスケスの絵は確かに素晴らしかったです。ラス・メニナスはその技法に驚かされましたし、彼の絵は美しい。
ただしゴヤはうまいとはいえなくとも、私にとっては印象的なものがいくつもありました。

amazonで頼んだ少年少女世界文学館『ドン・キホーテ』が昨日届きました。ルイスさんが重ねている自分・・・人の人生というものに思いを馳せて読んでみたいと思います(笑い)。私も同じように思うのかしら・・・?

投稿: | 2008年10月18日 (土) 18時35分

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受信: 2008年10月11日 (土) 21時44分

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