カテゴリー「書籍・雑誌」の9件の記事

忘れないと誓ったぼくがいた

平山瑞穂さん。 まだあまり知名度が高くないが、私の好きな作家である。 本屋でもたまに”女流作家コーナー”に置かれてしまうが、男性である。 

私の感性の琴線に触れるものがある。 時折見せるブラックなところも好きだ。

出会ったのは、このブログのプロバイダーであるココログのネット小説であった。 なにげに読みに行ったその作品に、思わず引き込まれた。 いちいち「ああ、その感覚わかる!」と嬉しくなって、コメント欄に書き込みをしたくなること満載。 実際、多くの人が感想を書き込んでいた。 そして載せるコメント欄にいつも丁寧に返事をくれ、そんなやり取りも私がはまったひとつであった。 作家という存在をちょっとだけ身近に感じられるのだ。

シュガーな俺』というこの作品は、既にハードカバーでも売られているが、ネット小説に興味のある方はタイトルをクリック!

この作品は作家本人の”糖尿病”体験によるものである。 糖尿病という病気を持つ人が身近にいたら、是非読んでみるといいだろう。 「糖尿病の本は、医者側から書いたものが多い中、患者側からの貴重な体験談である」からだ(受け売り)。

ちなみに私は、自分自身も親戚や友人にも、今のところ糖尿病患者はいない。 でも十分楽しめると思うし、意外に身近な病気なので知っておいて損はないと思う。 この飽食の時代、将来ならないという保証なんてないし。

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ところで、そんな彼の作品の中で私が一押しするものをここで紹介したい。

『忘れないと誓ったぼくがいた』(新潮社からハードカバーと文庫本)

タイトルからもわかるように、これは恋愛小説であるが、ただの恋愛小説ではない。

高校時代の甘酸っぱい経験なら、みんな誰しも経験したり憧れたりしただろう。そんな青春時代の切なさというものを再び呼び起こされる。

そして、一番のテーマは人間の”記憶”である。

記憶というものは、とてもあやふやで、はかない。 同じ出来事でも、人によって捉え方が違ってて、数年後に仲間でそのときの出来事を思い出すと人によって覚えている部分が違っていたり、かたやまるっきり忘れていたり・・・そんな経験はないだろうか?

また、自分の中での記憶というものも、実はかなり加工され改ざんされている。

私は今では五年日記というものを四年間つけ続けているが、昔は恋をするとつけていた時期があった。 恋をすると、その思いがあふれてきて文字に残したくなったからだ。 それを数年後になって読んでみると、「こんな風に感じたり、捉えていたりしたんだ!」と自分に起こったことにもかかわらずびっくりするようなことを考えていたり、起こっていたことを忘れていたり。

そんな”記憶”というもののはかなさを違う方向から描いているのがこの小説だ。

7月に文庫本にもなり、かの有名な脳学者、茂木健一郎さんが解説を書いているのだが、これがまたいい。 

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チーム・バチスタの栄光

この本を読んだとき、是非ブログに書かなくてわっ!と思うほど、気分の高揚感があった。 最高に面白かった。 

『このミステリーがすごい!』大賞を受賞したということで前々から評判になっており、映画も公開された。 まあ、いつものごとく流行に”真っ先に”飛びつくのではなく、”まったりと(?)”飛びつく私なので、読者の皆様にとっては「何をいまさら」的な記事であろうことは想像に難くないが。

いやー、これは読んでいない人は是非読んでみて!という感じである。 左下の書評(?)にも書いたが、普段読書をされない方でも確実に入り込めるような魅力を持っているのだ。 もちろん、普段から読書をされている方もどっぷりはまるに違いない。

1) 医療のことを扱っているにもかかわらず、全然硬くない。わかりやすく書かれているのだ。

2) 一人ひとりの人物の描写がすごくリアルで、個性的でかつ魅力的だ。

3) 物語のテンポもまたすばらしい。どんどん引き込まれていくストーリーだ。

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ところで、先日台湾出張に行く機会があり、たまたま機内で『チーム・バチスタの栄光』をやっていたので観てみることにした。

あれだけ面白い本だから、映画を観たらがっかりするだろうな・・・・という予想に反さず、やっぱりがっかりだった。  本自体が、主人公の田口医師の目線で、その語り口調で成り立っているのだからそれを客観視した時点で、魅力が半減してしまう。

よかった、高い金払って映画館で見ないで。

しかも、私は直前まで知らなかったのだが、主人公の田口医師は原作では男性にもかかわらず、女性に変更されて竹内結子が演じているではないか~!! 本のオビに映画化の宣伝が載っていて、何ゆえ阿部寛と竹内結子なのかな~? 女性看護師の役は脇役なのに竹内結子?なんて、のんきに考えていた。

私は竹内結子は美しいので大好きなのだが、田口医師のあの役はちょっと・・・。 

阿部寛の場合は、本を読みながら「この白鳥に阿部ちゃんならぴったりだ!!」と思っていた。 すごく適役! すばらしい配役! 彼を置いて他にあの役をできるものはいない!と。 

ところが! 本であれだけ面白い白鳥の役も、映画ではなんだか魅力半減。 いや、阿部ちゃんが悪いのではない。 二時間という映画の制約上しょうがないのだろうが、白鳥の毒や面白さが描ききれていないのだ。

最後に一言。

ベースボールのシーンって(原作にはないけど)必要ですか?

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今頃読んでみた3 『嫌われ松子の一生』

最近読んだ中で、私にとって最もヒット作!すらすら読めて、面白い。さすがに映画化やドラマ化をされているだけある。 本当は暗い話なのだが、割と軽いタッチで描かれているために、読んでいて悲惨な気分にならないのもいい。

私は残念ながら、ドラマも映画も観ていないのでだけど、それはまたそれで純粋に小説を楽しめたのではないだろうか。 

ちなみに、私の印象では、主人公”松子”は中谷美紀でも内山理名でもないんだな、これが。 彼女たち自身になんら不満はないし、作品そのものを観ていない時点でいうのもなんだが、私の中の松子はもっと別物である。 かといって、適当な女優の名前が浮かばないのだけれども。

主人公の松子はひたすら不幸な女性なのである。 かなりの美人で、頭もいいにもかかわらず、だ。  

しかも中学所教師、トルコ嬢(今はヘルス嬢)、囚人、美容師・・・まるっきりつながりがないような職業(?)を渡り歩くのだ。 何ゆえ、こんな一生なのか??・・・これは読んで納得するしかない。

とにかく、次から次へと不幸なことが降りかかってくる。その不幸の数々は彼女自身が招いたものもあるし、抗いきれない運命のようなものでもある。

私は、不幸は大きく分けて二つあると思う。 自分が招いたものと、全く不運としか言いようのないもの。  例えば、自分が招いた悪いこととは、自分が不注意でお財布や携帯をなくしてしまったとき。 全くの不運とは、大地震に見舞われたという天災もあれば、青信号で渡っていたにもかかわらず酔っ払い運転の車にはねられてしまったとき。

そういう意味で、松子の不幸は「かわいそう」と同情できるものもあるし、「あんた、何でそこでそんな行動に出る?!」と心の中で突っ込みを入れたくなるようなこともある。 

おそらくタイトルの『嫌われ松子・・・』というところから想像する女性と、実際に小説を読んでみて知る松子とは印象が違うだろう。 彼女は、ある意味世間から、家族からすごく嫌われてしまうけれども、読んでみるとそれは同情に値する。

彼女は、とにかく一生懸命だったのだ。 不器用すぎるぐらいに。

彼女の欲しいものはたった一つ、愛情だったのに・・・。 とにかく男運が徹底的に悪い。悪すぎる。 それは、恋人の時もあり、自分を取り巻く環境にいる男性にも言える。例えば、父親や職場の上司といった男性にも恵まれていないのだ。

でも、松子の一生って、なんだったんだろう・・・・。

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今頃読んでみた2 『陰日向に咲く』

劇団ひとり・・・うーん、あまり好きではないなぁ。

それでも、最近のお笑い芸人が書いた本の中ではダントツの売り上げを誇っているというので興味がないこともなかった。 未だに本屋で”平積み”されてるし! ただ、自分で購入するのは嫌だった(^^; 売り上げに貢献したくなかったのである。

今頃読んでみた1』でも書いたとおり、たまたま読みたいと思っていた本を友達が持っていたので、『東京タワー』とともにありがたく拝借することにしたのだ。

感想は・・・・なかなかすごいかも。

決して、プロの作家のような文章のうまさはないが、悪くはない。 まさに『劇団ひとり』の芸風で”一人で何役もこなす”ように、サラリーマンだの、ホームレスだの、女子高生だのといろいろな登場人物が主人公となり、それぞれの心情や身の回りの出来事を吐露している。 ちゃんと、それぞれのキャラが個性いっぱいに描かれているのだ。

そして、すべてのばらばらな登場人物が、どこかでつながっているのだ。これは読んで観なくてはわからない。へぇ~と感心すること仕切りである。 感動する部分もある。

ただ辛口評として言えば、リリー・フランキーの『東京タワー』でも書いたように、「この人がこんなものを書くのか!」という意外性が”より”受けたのだと思う。

もちろん『東京タワー』は素晴らしくて、『陰日向に咲く』と比べてみること自体間違っているのはわかっている。この本はたとえリリーさんが著者でなくても売れたと思う。

でも、『劇団ひとり』の場合は、やはり「劇団ひとりって意外とうまい小説を書くんだ」という”意外性”というのが大きいように思う。

読み終わっても、私の劇団ひとりへの好感度は上がることはなかった・・・。

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今頃読んでみた1 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

流行り物にすぐに食いつく人間ではない私。 されど、興味はないことはなし。

二ヶ月ほど前、たまにしか会わない友達と話してて、

「『東京タワー』とか『陰日向に咲く』とか、読んでみたいんだけど、別にファンじゃないから買いたくはないんだよね。文庫本じゃないから、かさばるし。」

などと言ったら、二冊とも持っているというではないか! 「貸してくれる」というので、さっそく貸してもらうことになった。やったー!

そして読後感想文を個々に載せようと思う・・・。

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『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』 

リリー・フランキーという人は、『ココリコミラクル』というバラエティー番組でしか知らない。

あのテキトーに生きていそうな彼だけど、とても文章はうまくて、情にあふれたその小説との、そのギャップもまたいいのかもしれない。

これがベストセラーになって、ドラマ化されたり、映画化されたりしたのが納得できた。

実際に買わなくても(例えば図書館でも友達から借りるのでも)いいから、これは読んでみて欲しいと思う。

「ああ、こういう人たちが本当にいるんだ」ということを知って欲しい。それは、貧乏なことも家族関係が複雑なことも、オカンが立派なことも、ボクがいい加減なことも、冷たい医者や看護婦がいることも、温かい人がたくさんいることも、全部ひっくるめてである。

私は、自分があまりに平凡に育ちすぎているなと思った。

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私は月九の速水もこみち版『東京タワー』を観ていた。

先に本を読んだ周りの友達が散々言っていたし、ココリコミラクルでのリリー・フランキーを見て、発言を聞く限りでは私も思ってたんだけど、もこみちはリリーさんとはイメージが違いすぎる。

だから、速水もこみちの『東京タワー』(ドラマ)は、リリー・フランキーの『東京タワー』(小説)とは違うものだと考えた方がいい。 もこみち版”まーくん(主人公の名前)”は、優しすぎるのだ。 ただし、エピソードのほとんどは小説と同じであった。

妹は「倍賞美津子は”オカン”のイメージにしてはきれい過ぎる。」といってたけど、すごくきれいだった彼女ももう年を取っていて”美人”のイメージがなく、ドラマの中ではとてもいい味を出してたと思う。 小説を読んだ後でもナイス・キャスティングだったと思っている。

どの小説(ノンフィクションを含めて)を元にしたドラマや映画でもそうだけど、小説を忠実に映像にしたところで、心理描写は小説に勝るものはない。 

この本は、いろんな意味で読んでよかった。 東京に子供の頃から住む自分が気がつかない東京がいっぱい詰まっている。

ちなみに、映画を観た妹が「すごくお勧めだ」といっていた。機会があったら観てよう。オダギリジョー&樹木希林はとてもいいキャスティングだと思うから。 ただ二時間でまとめるのはやっぱり難しい気がする。

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Sweet Goddess Ⅱ

うふふー。今頃、買っちゃいました。

特に叶美香さんのファンというわけではないのですが、『Sweet Goddess 』を購入していたので第二段も買おうかなーとは思ってたんですよ。ヌード写真集は”コレクター”というほどではありませんが、いくつかもってますし。 (前回のブログはこちらから→『Sweet Goddess』  )

でも、今回は”限定”だったし、発売は去年の11月だったし、半ば諦めてたんですね。

ところが、渋谷の大書店で見つけてしまったのです!

”40,000部限定”とのことでしたが、今回は売れ行き悪かったんですねー。確か第一弾は15万部だったとか?(ネットで調べたらなんと『販売部数 非公開』となってました。なんで?!)。

なのに、今回は4万部も売れていないなんて・・・。

やっぱり第一弾は売れても、第二段はねー。

正直に言って、第一弾を観た時の衝撃・・・例えば、ヘアヌードであるとか、きれいな裸だという感激は、第二段ではありません。なんか新鮮味がないというか、つまらなく思えてしまいました。男性を意識した感じのポーズも多かったし・・。

それに、化粧も前より濃い気がするんです。なんか恭子さんに似てきている感じがして、ちょっと怖い・・・。もちろん実の姉妹ではないことはわかってますが、”作られた顔(整形顔)”になってきているんじゃないかという・・・。

今回も私の彼に「こんなものに4,200円もつぎ込むなんて、お金の無駄だ!」といわれましたが、「あんたもちゃっかり見てるじゃん」と突っ込んでしまいました。

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『魂萌え!』が面白い

桐野夏生さんの『魂萌え!』を読んでいる。ちなみにまだ読み終わっていないが。

あー、こんなに面白いなんて!!

私は、主に通勤電車の中が読書タイムなのだが、私の”面白い”の基準は『電車を降りてもなお、本を読み続けたい衝動に駆られる』ことだ。

私は決して読書家ではなく、読書範囲もかなり狭いので、こんなことを偉そうには書ける身分じゃないのだけれど。

誰か作家さんの受け売りなんだけど、

「面白い本に出会うと、得した気分になる」

「先を知りたくてどんどん読んでしまいたいけれど、読み終わってしまうことがすごく残念」

これはそんな一冊だ。

桐野夏生さんの有名な作品は直木賞を獲得した『柔らかな頬』、主婦が死体を切り刻んで抹殺することを仕事にした『OUT!』。 『OUT!』はその残酷さが物議をかもしたが、映画化・ドラマ化された。(いま、結構タイムリーな話題だな、こりゃ)

でも、私はこれらよりも『顔に降りかかる雨』(江戸川乱歩賞)とか『水の眠り、灰の夢』なんかが好きかな。今回、そんな私のお気に入りに加わるのがこの本である。

彼女の作品のすごさは、主人公の心理描写、主人公と接する登場人物の人物描写である。(と私は思う)

接する人や物事によって刻々と変化していく心理状態。それがすごく「わかる!そんなことある」という感じなのだ。 

登場人物の何気ないしぐさで、その心理状態や性格がつぶさに表現されている。 桐野さんが自分の知り合いだったら怖いだろう。

”自分が見抜かれてしまう”という怖さである。

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実は、この『魂萌え!』は映画化される。近々公開されるはずである。

物語は、59歳の主婦が63歳の夫を心筋梗塞で突然失ったところから。何も世間のことを知らずに生きてきた専業主婦だったのに、夫に愛人がいることを知り彼女と対峙しなければならなかったり、二人の子供は好き勝手なことをいい遺産相続の問題を解決しなければならなかったり、多額の借金を背負った他人のトラブルに巻き込まれたり、”老い”や”孤独”というものに直面しなければならなかったり・・・。

でも、私のこんな説明じゃ、面白さはわからない。

ぜひ、ご一読あれ!

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地下鉄(メトロ)に乗って

私が初めて浅田次郎氏の作品に出会ったのは『地下鉄(メトロ)に乗って』であった。

三年ほど前じゃないかと思う。

図書館で「世間で騒がれている浅田次郎の作品でも読んでみるか」と思って、本棚に並ぶ数冊の中からなにげに取った一冊だった。 

読み進んでいくうちに、「この人の作品はこんなに面白かったのか!」とびっくりしたと同時に感動した。

それから、浅田次郎の作品を読み漁っているが、私の中では今でもこの『地下鉄に乗って』が一番なのである。 直木賞を獲得した『鉄道員(ぽっぽや)』よりも、直木賞候補に挙がった『蒼穹の昴』よりも・・・。 

なにぶん、読むのがものすごーく遅いのと、他の本などを読んだりしている関係もあって、未だにすべてを読破出来てはいないのだが・・・。

この人のすごいところは、時代小説も、ヒューマンコメディータッチの作品も、極道小説も何でも書けてしまうところだ。

実は、私が「ブログを書きたーい!」と思ったきっかけは、彼のエッセイ『勇気凛々 ルリの色』を読んだことがきっかけだった。 自分のことをこんなに面白おかしく書けるなんて・・・・! もともとおしゃべりな私は、自分でも書いてみたくなったのだ。まあ、文章は雲泥の差があることは承知であるが。 これも面白いから、ぜひ読んで欲しい!

ちなみに今、『シェエラザード』を読んでいる。これも、ものすごく面白い。(いや、”面白い”しか言ってなくてすまんが)

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さて、本題の『地下鉄に乗って』に戻る。私の稚拙な感想で申し訳ないが・・・

一言で言ってしまえば『とても切ない、切なすぎる』物語。 昭和初期にタイムスリップというとっぴな展開にも、なぜかすっと入っていける。 一人ひとりの人格がきちんと描かれていて、それらが複雑に交錯していき、悲しい結末へと向かっていく。 歌でも何でも『切ない』物が好きな私はすっかりはまってしまった。

『地下鉄に乗って』のその切なさを考えると、お腹のそこから「うおー!」と泣き叫びたい気分になるのは私だけだろうか。

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いま、ちょうど映画が封切られたばかりである。

だからこそ、今この作品に触れたのであるが・・・・(便乗?)

私の頭の中の、この作品のイメージが壊れてしまうかもしれない恐怖(?)や心配もあるが、キャスト的には悪くないと思うので、観に行ってみたい気がする。

新宿の闇市を、ほとんどビルがなかった昭和初期の銀座を、にぎやかな商店街を、それらを知らない私は”映像として”みておきたい気もするからである。

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ダ・ヴィンチ・コード

左欄にも紹介している通り、4月には『ダ・ヴィンチ・コード』を読んだ。

5月20日には、映画も公開される。ぜひ、観にいくつもりである。

1月にフランスに行って、ルーブル美術館で『モナ・リザ』とご対面してきたばかりである。

英語の先生には、

「オーゥ、ルーブルニイクマエニ、ゼヒヨムベキダッタネ!モッタイナイネ!」と、言われたけれど確かにそうだったかもしれない。

ちなみに、上のせりふは外人風にカタカナで書いてしまったが、すべて英語で言われているので、あしからず。

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読まなかったのには理由がある。

ハードカバーのものしか出ていなかったからである。

私は電車が読書時間なので、ただでさえ重いかばんに、これ以上重いものを入れて持ち運びたくはない。満員電車ではなおさらだ。

3月、待望の文庫本が発行されたので、買ってみた。

読んでみた。

面白かった

本当に面白かった。

最近、電車を降りてからも読み続けたいがために駅前の喫茶店に入ったのは、東野圭吾の『変身』以来か・・・・。 

翻訳者が”訳者付記”に書いてあるけど、「この本の最大の魅力は”薀蓄(うんちく)”満載なこと」とあるように、「へえ」ボタンを”20ヘえ”押したくなるようなトリビア満載である。ちなみに、この本に”解説”を書いているのは、『トリビアの泉』にでている作家の荒俣宏氏である。

そんな薀蓄を読むと、ひとつ”おりこうさん”になったような気がする。

たとえば、『13日の金曜日』がなぜ不吉な日と思われるようになったのか、とか。

しかも、ルーブルに行ったことがなくたって、子供の頃から散々見たり聞いたりしてきた”レオナルド・ダ・ヴィンチ”や『モナ・リザ』、『最後の晩餐』などが登場し、その裏の秘密に迫っている。これがなかなか興味深い。

これから読んだり、20日公開の映画を観たりする人のために言わないけれど、敬虔なクリスチャンにとっては、かなりショッキングな内容だろう。

先日の「”裏切り者”として言い伝えられてきたユダは、実は裏切り者ではなかった」ことが書いてある福音書がエジプト(だっけ?)で発見されたそうだが、そのぐらい、いや、それ以上の事実であろうことが書かれている。

ダン・ブラウン恐るべし・・・・。

展開はスリリングでスピーディ。推理小説好きにもたまらないのではないだろうか?

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悔やまれるのは、おととし訪れたイタリアで『最後の晩餐』を観ていたのに、そのときは「えー、何でこんなにぼやけているの?絵のすごさがわからないなぁ・・・・」なんてぼんやり眺めてしまったことである。『ダ・ヴィンチ・コード』を読んだ後だったら、絶対に、好奇心満載で眺めたのに!!

これからフランス・パリは『ルーブル・美術館』を訪れる人、イタリア・ミラノに行って『最後の晩餐』を観る予定の人は、ぜひ読むことをお勧めする。イギリスやスコットランドも登場するから、ぜひ!

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