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東電OL殺人事件

佐野眞一著の『東電OL殺人事件』を読んだ。ノンフィクションだ。 

皆さんは、1997年に起きた東京電力に勤める39歳のOLが何者かに殺された事件を覚えておいでだろうか?

私の中では、『東京電力に勤めるエリートOLが、実は売春もしていたというショッキングな事件。 外国人が殺人容疑で起訴されたけれど、無罪判決がでた』という程度の認識しかない。 かなり騒がれたが、私は特に新聞や雑誌などを熱心に読んだり、テレビのワイドショーを観たりしなかった。 容疑者として逮捕された”外国人”というのも、私の中では”アジアのどこかの国の色の浅黒い人種”という認識しかなく、ネパール人だということも今回改めて認識したほど。

私は普段、小説しか読まない。 なにゆえ、普段は読まないノンフィクションを、しかも10年以上も過ぎた事件を書いたこの本を今更読もうと思ったのかというと・・・去年秋、読んだ2冊の本がきっかけだった。  このブログ上でも公表したが『今頃読んでみた3 嫌われ松子の一生』と、ブログ上には載せなかったが桐野夏生の『グロテスク』である。 私はこの二冊を”立て続けに”読んだわけだが、どういうわけだかこの二冊の”参考文献”としてこの『東電OL殺人事件』が載っていたのだ!

なんという偶然! 私は偶然に同じ時期に読み、まるっきり関係なく思えたこの二冊が同じ参考文献を用いているということに運命を覚えた・・・・というのは大げさだが、かようにして『東電OL殺人事件』を読んでみようと思ったのだった。 

二冊ともとっても面白かった。 面白さの質は全く違うが、読みながらわくわくする。 いや、『グロテスク』の場合は”ぞくぞくする”といって方がいいかもしれない。

『グロテスク』は、この”東電OL殺人事件”をヒントに描かれているのは一目瞭然だった。 佐野眞一の『東電OL殺人事件』を読んで、更にその認識を強くした。 ところが、『嫌われ松子の一生』には、どう”東電OL殺人事件”が絡んでくるのか、皆目見当がつかなかった。 そこで更にその謎を解くべく『東電OL殺人事件』を読む気になったのだった。

ところが、読み終わった今でも『東電OL殺人事件』のどこが『嫌われ松子』の参考文献になったのか、未だにわからないままである。 たしかに、学校の先生という尊敬される立場からトルコ嬢(今で言う”ヘルス嬢”)に転落するという人生は、東電OLが”売春行為という”現実になしえた人生の転落と重ならないといえなくもないか・・・。 それにヒントを得たということか!

ちなみに私の悪い癖で、”気楽に読めなさそうな”感じを敬遠して購入してからしばらく別の本を読んでしまったために半年してからやっと『東電OL殺人事件』に手を伸ばしたのだった。

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この事件が起きた後、「私には彼女の気持ちがよくわかる」「彼女は私である」と訴える女性が後を絶たなかったそうだ。 殺害現場にも多くの女性が足を運んで花を供えたそうだ。

いい大学を出て、いい会社に勤めた時点で、世間は画一的に「いい人生だ」と羨ましがるかもしれない。 しかし、”優等生”である人生を親からも周りからも求められながら育つということがどれだけ本人のプレッシャーになることか。 たとえ、そういう風にしか本人が生きられなかったとしてもだ。 

しかも男女雇用均等法が出来て(実際の被害者は、この法律が出来る前に総合職として採用されたが)男性と同じだけ働くことを余儀なくされる反面、”女である”ことで昇級させてもらえなかったり昇給してもらえなかったりと差別を受けたりする。 がんばっている女性達はそこで葛藤し、そこから生まれる心の闇と闘っているのだろう。 一歩間違えれば”体を売る”という行為に及んだ被害者と紙一重かもしれない、という思い。

被害者は二度拒食症で入院しており、殺害当時もガリガリにやせていたそうだ。 それでも現場にはダイエットサプリが転がっていた。 努力家で自分を追い詰めるタイプ。 

私は井の頭線に乗って、渋谷に勤めている。 殺害現場となった神泉駅はひとつ手前だ。 なんとなく現場に足を運んでみたくなって神泉駅で降りてみた。 現場は駅改札から徒歩1分程度。 事件から10年以上経った今でも、殺害現場になったアパートも容疑者とされるネパール人が住んでいたマンションも残されている。 

私は努力家でもないし、キャリヤウーマンではない。拒食症にも売春婦にも絶対にならないしなれないけれど、やはり同じ女である以上、なんとなく彼女の心の闇を「絶対に理解できない」とはいえないのである。

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