『魂萌え!』が面白い
桐野夏生さんの『魂萌え!』を読んでいる。ちなみにまだ読み終わっていないが。
あー、こんなに面白いなんて!!
私は、主に通勤電車の中が読書タイムなのだが、私の”面白い”の基準は『電車を降りてもなお、本を読み続けたい衝動に駆られる』ことだ。
私は決して読書家ではなく、読書範囲もかなり狭いので、こんなことを偉そうには書ける身分じゃないのだけれど。
誰か作家さんの受け売りなんだけど、
「面白い本に出会うと、得した気分になる」
「先を知りたくてどんどん読んでしまいたいけれど、読み終わってしまうことがすごく残念」
これはそんな一冊だ。
桐野夏生さんの有名な作品は直木賞を獲得した『柔らかな頬』、主婦が死体を切り刻んで抹殺することを仕事にした『OUT!』。 『OUT!』はその残酷さが物議をかもしたが、映画化・ドラマ化された。(いま、結構タイムリーな話題だな、こりゃ)
でも、私はこれらよりも『顔に降りかかる雨』(江戸川乱歩賞)とか『水の眠り、灰の夢』なんかが好きかな。今回、そんな私のお気に入りに加わるのがこの本である。
彼女の作品のすごさは、主人公の心理描写、主人公と接する登場人物の人物描写である。(と私は思う)
接する人や物事によって刻々と変化していく心理状態。それがすごく「わかる!そんなことある」という感じなのだ。
登場人物の何気ないしぐさで、その心理状態や性格がつぶさに表現されている。 桐野さんが自分の知り合いだったら怖いだろう。
”自分が見抜かれてしまう”という怖さである。
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実は、この『魂萌え!』は映画化される。近々公開されるはずである。
物語は、59歳の主婦が63歳の夫を心筋梗塞で突然失ったところから。何も世間のことを知らずに生きてきた専業主婦だったのに、夫に愛人がいることを知り彼女と対峙しなければならなかったり、二人の子供は好き勝手なことをいい遺産相続の問題を解決しなければならなかったり、多額の借金を背負った他人のトラブルに巻き込まれたり、”老い”や”孤独”というものに直面しなければならなかったり・・・。
でも、私のこんな説明じゃ、面白さはわからない。
ぜひ、ご一読あれ!
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コメント
こちらには“初めまして”のえあ。です。
今年もよろしくお願い致します。
で、「魂萌え!」ですが、確かNHKで高畑淳子(?)主演でドラマ化もしてた気がします。
見てなかったけど。
面白いなら映像ではなく是非本で読んでみたいと思いました。
ワタシは結構な乱読派ですが、最近はさすがにゆっくり本を読めてません。
なんせ本を読むくらいなら眠りたい...。
本屋で買った本もたまっていく一方です。
ちなみに最近読んでるのは「Kiss」と「コーラス」(漫画...笑)くらいです。
投稿: えあ。 | 2007年1月20日 (土) 15時14分
えあ。さん、こんにちは!こちらの方にもコメントくださってありがとうございます。
すでにドラマ化されていたんですね!知りませんでした。ネットで調べたら、つい最近の話だったんですね(2006年10月)
高畑淳子かぁ・・・風吹ジュンとどっちがしっくりいくかなぁ。高畑淳子じゃ、イメージが強すぎるかも。
子育て中は、なかなか読書は難しいかもしれませんね。まあ、いつか機会があったら読んでみてください。人物描写がすごいので、こういうところは映像ではわかりませんから。
漫画もいろいろ読んでみたいなぁ。
投稿: 香 | 2007年1月21日 (日) 23時25分